祝!優秀演題受賞!!

こんにちは。作業療法学科の四元です。

今年度、九州作業療法学会にて藤田先生が発表されました「ICTを活用した遠隔見守りシステムによる在宅高齢者の自立支援と介護者の業務最適化への取り組み」が優秀演題を受賞されました。

今回は、その内容についてご報告しますね。

四元- 優秀演題の受賞、おめでとうございます。会場で、私も拝聴させて頂きました。
これからの私たちの生活に、新しい可能性を感じました。
今回の取り組みで、心に残っているエピソードがありますか?


藤田先生-「認知症があっても自分の住み慣れた家で暮らしたい」という対象者の方の思いがとても心に残っています。その思いをかなえるために、ご家族、医師、看護師、介護支援専門員、ヘルパーさん、デイサービスの方々、地域の方、行政の方々が連携して支援を行っていました。とても尊い大切な仕事だと思います。
しかし、コロナによる感染拡大や、そもそもこの業界の人材不足もあり、それぞれの専門職が多忙な業務を抱えながら、やっとの思いで在宅生活を支えている状況が見えてきました。
このような状況を少しでも改善できないものかと取り組んだプロジェクトが今回報告した「遠隔見守りシステムの開発」です。


四元- 住み慣れた家で過ごしたい思いは、わかります。その思いに答えるために・・・「遠隔見守りシステム」は、会場でも大きな話題になっていましたよ。こちらのシステムの可能性についても教えてもらえますか?


藤田先生-これまでの支援の在り方を変える可能性があります。
今回報告した実証実験から得られた知見を述べます

  1. 本システムを用いた支援を行った結果,対面での支援に制限がある中,それらをカバーする遠隔からの見守りが可能であった。
  2. 独居継続可能性の判断に用いる客観的なデータが得られるとともに,支援者の負担軽減が図れた。
  3. 生活ログを踏まえた支援は必要な支援を顕在化させ,過剰サービスを抑制することに繋がり,支援者の勘や経験による一方的な判断の抑止策となることが期待できる。
  4. 本システムはエビデンスベースの支援ならびに業務最適化を可能とすることで合理的なサービスを行う一助となる可能性が示唆された。

同時に、このようなシステムを検討する際に、コスト(費用対効果)の観点も外すことはできません。
今回のシステムは機能を絞ることで、コストパフォーマンスにも優れています。
大がかりで多機能になりがちなシステムが多いのですが、対象者に本当に必要な機能を取捨選択しコストを下げる視点も必要になります。これらの助言や提案も作業療法士は担うことができます。


四元-「対象者に本当に必要な機能」を見極めるために、作業療法士の力が必要なのですね。
すごいなあ。では、藤田先生が思うICT×作業療法の未来は、どんなカタチでしょうか?


藤田先生- 障害があっても無くても、人々の生活が豊かになることを支援していくことが作業療法士の役割です。
そのために作業を通じて、様々な道具を用いたり、その方の環境を整えていきます。ICT、IOT技術は作業療法を行う上で、強力な道具の一つです。
ベッドから起きれる人も、起きれない人も、朝起きて「カーテン開けて」というとカーテンが開く。
気持ち良い朝日が部屋に注ぎ込む。
そこには“体が動かなければならない”という条件は不要です。
シンプルに当たり前に「カーテンを開けるという」作業が成立するのです。

作業療法はその専門的視点から、一人一人にあった環境(生活)の提案ができます。
様々な技術を身近な生活に落とし込むことができることも作業療法士の強みだと考えています。
作業療法とICTは非常に相性が良い。
ICT×作業療法によって、人々の生活がますます豊かになって行くと確信しています。
さらに今は時期が良い。なぜなら先端技術がどんどん身近なものになっているからです。
これまで一部の特殊な知識や技能がある人しか扱えなかった技術(そして高い)が、誰でも安く簡単に使える時代になっているのです。
このような便利な技術をどんどん使って、その活用方法を発信していくことが望まれます。
多くの人々がこれらの恩恵を受けられるようにしていくことでwell-beingを高めることに貢献できると考えます。
作業療法士冥利に尽きると言ったところです😂


四元-今回、九州作業療法学会の会場では、環境、生活への提案として多くの最新機器から3Dプリンターで作る自助具もありましたね。本校から参加した学生も、その世界を見て大変勉強になったようです。では、最後の質問です。私達は教員の立場で作業療法士を養成していますが、これからはどのような人材を藤田先生は育てたいでしょうか?


藤田先生-情報システムの目覚ましい発展とグローバル化により、ますます多様性を増す社会において、人々の生き方に焦点が当たっています。
私たちは人々の多様な価値観に対応すべく、従前の概念にとらわれず、境のない知見を融合していかなければなりません。
いつの時代も作業療法は作業を通じて人が豊かに暮らすことを創造し、提案し、実践してきました。
今までもこれからも、新しい技術がたくさん生まれてきます。いつもアンテナを張って、常識を常に疑い、新しい技術や考え方を恐れずに取り入れていくことのできる人材を育成したいと考えています。

育成というか。。。

私も学生さんと一緒に考えたり、教えてもらったりしながら成長していきたいです😄