今回は,皆さんに診療放射線技師の業務拡大についてお知らせします。
診療放射線技師法等が改正され,令和3年10月1日より施行されます。今までは行うことができなかった医療行為を診療放射線技師が行えるようになります。改正の内容は以下の通りです。
1.核医学検査のために静脈路に放射性医薬品を投与するための装置を接続する行為、当該放射性医薬品を投与するために当該装置を操作する行為並びに当該放射性医薬品の投与が終了した後に抜針及び止血を行う行為
2. 1.に加えて、改正省令により、診療放射線技師が実施可能な放射線の人体に対する照射又は画像診断装置を用いた検査に関連する行為として、次に掲げるものが追加されたこと。
ア 静脈路に造影剤注入装置を接続する際に静脈路を確保する行為
イ 動脈路に造影剤注入装置を接続する行為(動脈路確保のためのものを除く。)及び造影剤を投与するために当該造影剤注入装置を操作する行為
ウ 下部消化管検査のために肛門に挿入したカテーテルから注入した造影剤及び空気を吸引する行為
エ 上部消化管検査のために鼻腔に挿入されたカテーテルから造影剤を注入する行為及び当該造影剤の注入が終了した後に当該カテーテルを抜去する行為
3.医師又は歯科医師が診察した患者について、その医師又は歯科医師の指示を受け、出張して超音波診断装置その他の画像による診断を行うための装置であって厚生労働省令で定めるものを用いた検査を行うときが追加されたこと。
4.病院又は診療所以外の場所において、医師又は歯科医師の立ち会いなしにエックス線の照射を行うことができる場合として、乳がんの集団検診においてマンモグラフィー検査を行うときが追加されたこと。
最も大きな変更点は,前回の改正で,抜針(検査終了後に注射針を抜く行為)はできるようになったのですが,今回の改正では検査の為の静脈確保いわゆる穿刺(注射針を刺す行為)ができるようになるということです。今までは造影検査(造影剤を体内に投与してより詳しく見る検査)をする場合には医師・もしくは看護師が穿刺を行っていたのですが,これによって診療放射線技師だけで造影検査が可能になります。抜針と比較して穿刺はそう簡単にできるものではありません。よって,これらの行為を行うためには,厚生労働省が指定した研修を受ける必要があります。来年度の入学生からは,養成校でこれらの教育を行っていくことになりますので,それに対応するため,我々教員も現在研修を受けている最中です。
診療放射線技師の本質は診断価値の高い画像を作成し提供することです。その画像を作成するための一連の作業を診療放射線技師が行えるようになることは責任も重くなりますが,それらを工夫することによって,今まで以上に診断価値の高い画像を提供することが可能になるのではないかと期待しています。実際に注射針の太さの違いで得られる画像の質が変わるのを私も経験しています。
今後のオープンキャンパスの体験学習では,腕の模型を使用した穿刺(注射)体験等もやっていこうと考えています。一度参加したことのある方も新しい体験ができますので,再度ご参加ください。お待ちしております。