※ 今回の授業では、作品の著作権保護、および作品とじっくり向き合うという学習の趣旨から、展示室内での撮影は控えました。写真で学生の様子等をお見せすることはできませんが、文章を読んで、学生たちが作品から得た「気づき」を追体験していただければ幸いです。
手嶋州平先生のご指導のもと、鹿児島市立美術館へ行き、今、注目されている「アート思考」を学びました。

「アート思考(Art Thinking)」とは、アーティストのように、自分独自の視点や問いを持ち、誰もが見過ごすような事柄から本質を見つけ出し、新しい価値を生み出そうとする考え方のことです。
正解が一つではない現代の複雑な課題に対し、柔軟に対応できる能力は、これからの作業療法士にも欠かせません。実際、ハーバード大学などの海外医学部をはじめ、日本国内でも医療者の観察力や共感性を高めるためにアート教育が急速に広まっています。
美術館では、先生の指示のもと、作品鑑賞をしました。「キレイ」「好き」と感じることから、「この椅子のカタチの違いは?」「この人は何を見つめているのだろう」というように、作品に対し、内なる対話を深めていきました。授業の終盤では、アートから得た多角的な視点を、目指す作業療法士像に結びつけて語り合いました。
特に心に残ったのは、先生の留学先でのエピソードです。海外の美術館では、小学生が地べたに座って模写する光景があったこと、一つの絵画を何時間も見るという課題があったそうです。これは、作品をただ「見る」のではなく、作品と真剣に向き合い、五感を使って感じ、深く思考するトレーニングなのだと感じました。
今回、経験した新しい美術館の巡り方からは、「プライベートでじっくり行きたい」「家族と語り合いたい」といった感想が学生から多くあがりました。
美術館での学びは、単なる美術鑑賞にとどまりませんでした。
私たちは、対象者の身体の動きや表情、何気ない言葉の背景にある「本当に求めているもの」を読み解く、観察力が求められます。また、その人だけのオーダーメイドの支援を組み立てる発想力も不可欠です。アート思考は、まさにその両方を磨く素晴らしいトレーニングになりました!
皆さんは、アートからどんな「気づき」を得たいですか?